熊本地方裁判所 昭和54年(わ)41号 判決 1979年6月29日
本店所在地
熊本県阿蘇郡小国町大字宮原一、九七八番地
法人の名称
株式会社 橋本建設
右代表者代表取締役
橋本建固
本籍
熊本県阿蘇郡小国町大字宮原一、六〇四番地
住居
同町大字宮原一、九七八番地
会社役員
橋本建固
大正一四年九月一四日生
事件名
右両名に対する各法人税法違反被告事件
公判出席検察官
山田宰
主文
一 被告人株式会社橋本建設を罰金四五〇万円に処する。
二 被告人橋本建固を懲役六月に処する。
同被告人に対しこの裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人会社株式会社橋本建設は、熊本県阿蘇郡小国町大字宮原一、九七八番地において建設業を営むもの、被告人橋本建固は、被告人会社の代表取締役としてその業務を統括しているものであるが、被告人橋本建固は、被告人会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、工事収入金の一部を除外し、工事原価の架空計上をなすなどし、これにより得た資金を架空名義・無記名の銀行預金に預け入れて所得を秘匿したうえ
第一 昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における所得金額が四、九六二万八、九三八円で、これに対する法人税額は一、六三九万二〇〇円であるにもかかわらず、昭和五一年二月二一日、同郡一の宮町大字宮地一、九四四番地阿蘇税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、六二三万六、一三九円で、これに対する法人税額が二九二万二、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出して、申告納付期限である同月二八日を徒過し、もって、不正の方法により、右事業年度の正規の法人税額一、六三九万二〇〇円と右申告税額との差額一、三四六万七、九〇〇円を免れた
第二 昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における所得金額が一、五七七万九、六四一円で、これに対する法人税額は四三〇万一、四〇〇円であるにもかかわらず、昭和五二年二月八日、前記阿蘇税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六二三万四、五七六円で、これに対する法人税額が五七万五、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出して、申告・納付期限である同月二八日を徒過し、もって、不正の方法により、右事業年度の正規の法人税額四三〇万一、四〇〇円と右申告税額との差額三七二万六、一〇〇円を免れた
ものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一、被告人株式会社橋本建設代表者及び被告人橋本建固の当公判廷における供述
一、右同被告人の検察官に対する各供述調書(三通)
一、右同被告人作成の上申書(一三通)
一、右同被告人に対する収税官吏の左記各質問てん末書
昭和五三年一一月一三日付、一一月二四日付、一二月四日付、一二月二七日付
一、登記簿謄本一通
一、収税官吏作成の脱税額計算書
一、渡辺始枝(昭和五四年一月二五日付、一月二九日付)、恵由美子、室原美智子、北里勝一、平川陸蔵、宇都宮昭五、江田正弘、橋本豪造、佐々木信行、吉野岩夫の検察官に対する各供述調書
一、収税官吏の穴井陽太郎(昭和五三年一〇月五日付)、高橋募(三通)、渡辺始枝(三通)、恵由美子(四通)、室原美智子、北里勝一、平川陸蔵、宇都宮昭五、江田正弘、橋本豪造、佐々木信行、吉野岩夫、永浜弘敬に対する各質問てん末書
一、収税官吏作成の各査察官調査事績書(昭和五三年一二月三〇日付、一二月六日付、一一月三〇日付三通、一二月五日付、一二月一九日付二通、一一月二七日付二通、一一月二五日付、一一月二四日付二通、一二月一日付五通、一二月一九日付六通、一二月八日付、一二月七日付、一一月二八日付、昭和五四年一月一〇日付二通)
一、収税官吏作成の各検査てん末書(昭和五三年八月一〇日付、一二月一八日付、一〇月一三日、一一月二〇日付、一〇月四日付、九月二六日付、九月一三日付、一〇月三日付)
一、清田勲(二通)、平川陸蔵、松山昭二(昭和五三年九月一三日付)、畑上精次、山田陸奥雄、後藤国夫(八枚のもの)城戸正嗣作成の各証明書
一、渡辺始枝作成の各上申書(昭和五三年八月二四日付、一〇月一三日付、八月三〇日付)
一、押収してある元帳一冊(昭和五四年押第四四号の1)、総勘定元帳一冊(同号の2)、補助簿一冊(同号の4)、請負工事台帳一冊(同号の7)、領収書綴八綴(同号の14ないし21)、補助帳三冊(同号の28ないし30)、法人税決議書一綴(同号の39)、資料せん一綴(同号の40)、普通預金元帳一枚(同号の42)
判示第一の事実につき
一、右同被告人に対する収税官吏の昭和五三年一一月二七日付質問てん末書
一、穴井陽太郎、佐藤由之、高橋募、藤田九州男、久積勘治、佐藤修一の検察官に対する各供述調書
一、収税官吏の穴井陽太郎(昭和五三年八月二二日付、九月一日付)、佐藤由之、高木正之、藤田九州男、久積勘治に対する各質問てん末書
一、収税官吏作成の各査察官調査事積書(昭和五三年一一月二八日付、一二月一日付、一一月三〇日付、一二月一九日付)
一、収税官吏作成の各検査てん末書(昭和五三年八月九日付、八月二三日付、一二月一八日付)
一、松山昭二(昭和五三年一二月五日付)、後藤国夫(一七枚のもの)作成の各証明書
一、佐藤修一作成の上申書
一、右同人作成の回答書
一、押収してある工事請負台帳一冊(前同押号の6)、会計伝票二綴(同号の9及び10)、請負契約書綴一綴(同号の22)、元帳一冊(同号の25)、給料明細表一綴(同号の34)、契約書綴一綴(同号の38)
判示第二の事実につき
一、右同被告人に対する収税官吏の昭和五三年九月一四日付質問てん末書
一、岩野真勝、宮川国俊の検察官に対する各供述調書
一、収税官吏の三輪健児、岩野真勝、豆塚武彦、宮川国俊に対する各質問てん末書
一、収税官吏作成の各査察官調査事績書(昭和五三年一一月三〇日付三通、一二月七日付、一二月一日付四通)
一、収税官吏作成の各検査てん末書(昭和五三年一〇月四日付、一〇月一二日付)
一、岩野真勝、河津冷郎作成の証明書
一、渡辺始枝作成の上申書(昭和五三年九月九日付)
一、押収してある金銭出納帳一冊(前同押号の3)、補助簿一冊(同号の5)、請負工事台帳一冊(同号の8)会計伝票三綴(同号の11ないし13)、請負契約書綴一綴(同号の23)、賃金台帳一綴(同号の24)、元帳一冊(同号の26)、補助帳一冊(同号の27)、工事台帳二冊(同号の31及び32)、領収証綴一綴(同号の33)、給料台帳一綴(同号の35)契約書綴二綴(同号の36及び37)及び普通領金元帳一枚(同号の41)
(法令の適用)
一 被告人株式会社橋本建設に関し
一、判示各所為 いずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項
一、併合罪処理 刑法四五条前段、四八条二項
二 被告人橋本建固に関し
一、判示各所為 いずれも法人税法一五九条一項
一、刑種の選択 所定刑中各懲役刑選択
一、併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)
一、刑の執行猶予 刑法二五条一項
(裁判官 上原吉勝)